最近気付いたのだが、僕は物事に集中したとき、それしか見えていないようだ。「ご飯だよ〜。」と声をかけられても、集中している物事の方を優先してしまう。このとき僕は、集中している状態を妨げるものはすべて敵のように思っているようで、例えばこの「ご飯だよ〜。」という声を聞いただけで爆発しそうな精神状態になるのである。なお、最低5回は呼びかけを無視した後、苛立ちながら(時には壁を殴りつつ)渋々と食卓に向かうのが常である。まったくどうしようもない人間だと思う。
さて、では昨日の続きである。
楽器を買うという選択をしたのはいいが、ベースと言っても色々ある。僕が選んだのは「ジャズベース」だった。形が好みだったのと、先生のベースがプレシジョンベースだったからである。色はサンバースト。少し悩んだ後、購入ボタンを押してしまった。
そして、ベースが届いた。改めてそれを目の前にして、越えてはならない一線を越えてしまったような気がした。早速アンプに繋いで弾いてみると、心地よい低音が鳴り響いた。届いた日はサルの様にひたすらベースを弾きまくった。その後、ギターも欲しくなり中古のヤマハストラトキャスターを購入。そして、弾きまくっているうちに中学校の生活は終わりを告げた。
高校に入学し、音楽の授業があった。ギターを使う授業があったので、休み時間のうちに早くきて適当に弾いていると「上手いね。」と声をかけてくる奴が一人。今思えば、コイツとの出会いがその後の交友関係にも影響しているような気がする。声をかけてきたソイツはやはりギターを弾ける人間で、僕たちは音楽の授業が始まる前にいろんな曲を一緒に弾いていた。楽器を弾ける人間が集まれば当然「バンドをやろう」という話になり、僕たちは学校祭でのライブ出演を目論んだ。しかし、出られなかった。まだ引力は完成していなかった。
2年生になり、前述の友達や音楽のおかげで交友関係が広がった。楽器や音楽が無ければ付き合うことは無かったであろう種類の人間や、今の写真部の顧問との出会いもこの時だった。楽器が弾けるという「引力」がお互いを引きつけたのである。引きつけられた人間達はまたライブ出演を目論んだのだが、やはり出られなった。まだ、「その時期」ではなかったのである。
続く